コロナ禍でも人間は「会食」に飢えている

 

7月22日時点での新型コロナウイルス国内累計感染者数(検査陽性者数)は27,000人を超え、東京都内だけでも10,000人を上回っている。にも関わらず、感染のリスクを認識しながら居酒屋やレストランで食事がしたいと思う人間は大勢います。

 

私も昨日上野にいったら、昼間からたくさんの人がガード下の居酒屋さんでお酒を飲んで賑わっていました。そのこと自体を個人的には悪いことだとは思いませんし、きっとその人たちも心のどこかで「もしかしたら感染しちゃうかも。」という不安を多少なりとも抱いていて、親しい人との語らいを100%で楽しめていないんじゃないかなと思います。

 

なぜ、こうした場所に人々が集まりたがるのか。お喋りするだけなら食事抜きで感染リスクを抑えることも可能なのに、お酒や食べ物抜きでそれができないのはどうしてなのか?

 

フランスの経済学者ジャック・アタリ氏は著書「食の歴史」で、人類のこれまでの歴史で見ても会食が非常に重要なポジションにあったことを説いています。

 

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pixabayからの画像

 およそ30万年前に私たちの祖先であるホモ・サピエンスは、火を用いて加熱調理をする技術を身につけました。その結果、生の食材を消化することに割かれていたエネルギーが脳の発達に寄与し、人間の言語能力が高まっていったといいます。

 

私たちが、バーベキューや焼肉に心の底からワクワクするのは(私だけではないはず!)もはやDNAレベルで染み付いたものかもしれませんね。

また、紀元前のエジプトの象形文字には「食べる、飲む、話す」を一文字で表現するものもあったそうです。

 

大昔から「食」と「話す」ことはセットであり、だからこそ様々な文化の創造と発展が成されてきたということが、本書で述べられています。

 

今のコロナウイルス流行のもとでは、これまでのようにみんなで心ゆくまで会食を楽しむことが難しくなっています。少しでも早く、誰もがなんの不安もなく飲食を楽しみながら語らい合う日常が戻ってくるといいなと思います。